「インストア加工の食品添加物表示も多い順に行いましょう」と言われて、「当然じゃないか」と思った方、その通りです!
ですが、過去、食品添加物は多い順に表示する必要はありませんでした。その理由の紹介と、昔から食品表示に関わっている方向けの注意喚起も兼ねて、食品表示の歴史とともにポイントを解説いたします。
目次
インストア加工とは
インストア加工とは、スーパーのバックヤードで作った製品をそのスーパーで売るなど、作った場所と売る場所が同じという状況です。
食品添加物の表示方法を定めている「食品表示基準」
現在は食品表示基準第三条によって、食品添加物の表示方法が定められております。
そこでは「添加物に占める重量の割合の高いものから順に」表示することとされていて、この文言を理由として、食品添加物は多い順に表示する必要があります。
食品表示に携わっている方にとっては常識かもしれません。
食品添加物の表示方法を定めていた「食品衛生法」と「JAS法」
しかし、「食品表示基準」が作られる前(平成二十五年より前)は、食品添加物は食品衛生法とJAS法で定められておりました。
食品衛生法
食品衛生法は食品の安全性を確保するために定められております。
そのため、現在も同様ですが「厚生労働大臣の指定を受けた添加物(指定添加物)及び既存添加物、天然香料、一般飲食物添加物以外は使用してはならない」と決められており、安全性が確認できていない(もしくは長い食経験のない)物質は使用できないとされておりました。
その他キャリーオーバー等の省略規定や、用途名、一括名の表示方法、使用基準といった現在と同じ表示の方法が定められておりました。
しかし、多い(重量の割合の高い)順に表示する旨は記載されておりませんでした。
なぜなら、安全性と関係があるのは、許可された食品添加物を使用されているかどうかと、使用基準が適切かどうかで、「複数の食品添加物でどれが多いか」は安全性と関係がないからです。
また、食品衛生法はインストア加工でも対象となります。
食品の安全性に関わること(アレルギー表示や保存方法など)は買った時だけでなく食べるときも重要になるためです。
JAS法
JAS法は一般消費者が合理的な選択(どの商品を購入するか等)をすることができるように定められております。
JAS法では食品添加物は「重量の割合の高いものから順に」「食品衛生法(の施行規則)に従い」記載するとなっておりました。
原材料も含めて何が多いかを消費者がわかるように表示することで、どの商品を購入するかの情報提供をすることが目的となっております。
しかし、インストア加工はJAS法の対象外となっておりました。
なぜなら食品衛生法とは異なり、「どの商品を購入するか」は食べるときではなく買うときに重要だからであり、工場で作った食品をスーパーで販売する場合、販売する人はどのような原材料を作ったかわかりませんが、インストア加工の場合は作る人と販売する人が同じ場所にいるため、聞けばわかるからです。
インストア加工での食品添加物表示方法の変遷
平成二十五年より前
インストア加工をした食品の食品添加物は食品衛生法に従って表示する必要があり、JAS法の対象外でした。そのため、食品添加物は表示する必要がある物質を表示するだけで、多い順である必要はありませんでした。
現在
インストア加工をした食品は食品表示基準第五条に「原材料名」や「内容量(計量法対象外である場合)」等の表示は要しないとされております。
ここで「要しない」とされている項目は、実は多くがJAS法由来の項目なのです。
しかし、JAS法に記載されていた食品添加物は「重量の割合の高いものから順に」表示するという一文が第五条ではなく第三条に記載されているため、平成二十五年より前とは異なり、インストア加工であっても食品添加物は多い順に表示しなければなりません。
あとがき
食品表示基準で新しく追加された内容はあるものの、名称、原材料名、保存方法等主な項目は食品衛生法やJAS法をもとに表示していた頃と変わっておりません。
しかし、全てがそうだと思い込んでいるとこんな落とし穴もあります。
最近表示作成を始めた方は問題ありませんが、昔から表示作成をされている方でインストア加工に携わっている方は、今一度食品添加物が多い順に表示されているかご確認をお願いいたします。
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今回の更新はオージーフーズ品質管理の関根が担当いたしました。
この記事は【オージーフーズ品質管理部メールマガジン2025.3.24発行】号を元にWEBサイト用の記事として再編集したものです。
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