容器包装リサイクル法に関する間違いやすい事例について、食品品質管理業務担当者がわかりやすく解説します。
食品表示に関わる法律といえば、食品表示法(食品表示基準)、食品衛生法、計量法などの他に「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)」もありますね。
聞きなれない方もいるかもしれませんが、プラマークなどの「リサイクルマーク」と言えば、ピンとくるかと思います。識別マーク(リサイクルマーク)は対象となる特定容器包装の場合、法的に「義務」であるものです。
目次
リサイクルマークの基本的な表示方法等については、弊社コラム・メルマガでも以前にご説明しておりますので、ご参照ください。
容器包装の判断について
商品の包装で使われているすべての素材について、識別マークが必要になる訳ではありません。容器包装リサイクル法において、識別マークの対象となる「容器包装」は以下のように定義されています。
商品の容器及び包装(商品の容器及び包装自体が有償である場合を含む。)であって、当該商品が費消され、又は当該商品と分離された場合に不要になるものをいう。
そして、容器包装に該当するか否かは、以下の観点から判断されます。
2. 「商品の容器及び包装」に該当するか
3. 「当該商品が費消され、又は当該商品と分離された場合に不要になるもの」に該当するか
では、以下の事例の素材について、識別マークの必要有無はわかりますでしょうか?
識別マークの必要有無を考えてみましょう
問題
回答
(1)ラベルは、それが付けられている容器包装の一部とみなされますので、ラベル自体についての識別マークは必要ありません。
ただし、下記2つの条件を両方満たしている場合は、ラベルが「包んでいるもの」となるため、ラベルそのものに対する識別マークが必要となります。
② ラベルを付けられた容器包装から、ラベルを容易に分離して廃棄することができる
(例)ペットボトルに付けられたプラスチック製のラベル、板状チョコレートの胴巻き(アルミ箔の上に巻く紙)等
(2)リーフレット(しおり)は容器包装には該当しないため、識別マークは必要ありません。
容器包装に該当するかどうかの判断に迷った際は、以下の経済産業省ウェブサイトに具体的な例が記載されておりますのでご確認ください。
(リンクをクリックすると経済産業省のページが開きます。)
「容器包装に関する基本的な考え方」(平成18年12月)
https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/04/pdf/kaisei/kangaekata.pdf
「容器包装の識別表示Q&A」
https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/02/faq/faq1.html
多重容器包装の場合の表示について
多重容器包装とは
多重容器包装とは、「容器にフタが付いている」「個包装をまとめ袋に入れている」「ボトルにキャップが付いている」など、複数の容器包装からなっているものを言います。
多重容器包装等においては、分離可能なそれぞれをひとつの容器包装とみなし、表示対象の容器包装毎に直接識別マークを表示するのが原則です。
ただし、ほぼ同時に捨てられる複数の容器包装がある場合には、個別の表記を省略し、まとめていずれかの容器包装に一括して表示をすることができます。
まとめて一括して表示をおこなう場合に忘れられがちなのが、「各容器包装の役割名(部位名)」をその識別マークに併記することです。
容器包装ごとに個別にマークをつけて表示する場合
容器包装ごとに個別にマークをつけて表示する場合は、マークのみの表示となります。
しかし、例えば無地のプラスチック素材の「個包装」および「まとめ袋」を使用しており、まとめ袋に貼り付ける一括表示ラベルにプラマークをまとめて表示するような場合は、プラマークに近接して「個包装、外袋」などの役割名の表示が必要となります。
参考サイト(経済産業省ウェブサイト「容器包装の識別表示Q&A」)
https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/02/faq/answer_11.html
役割名の文字サイズにも規定あり
また、役割名の文字サイズについては、JIS(日本工業規格)Z 8305に規定する6ポイントの活字以上の大きさとすることが規定されています。
プラスチック等の材質表示について
なおプラスチック製容器包装において、「PP、PA」のように使用されているプラスチック等の種類を表す「材質表示」については、義務ではなく任意となっています(法的義務はありませんが、望ましいこととされています)。
ただし、任意で材質表示をされる場合は規定に沿って、JIS K 6899-12000(ISO 1043-11997)で定められている記号を用いて表示し、複合材質及び複合素材については、主要な構成材料を含め2つ以上を表記し、主要な材料に下線を付すことが推奨されています。
識別マークが不要なもの(対象ではない容器包装)に自主的にマークを表示してしまうのは問題あり!
では、どんな容器包装でもすべてリサイクルマークをつけておけば問題無い、と考える方もいるかもしれません。しかし、対象ではない容器包装には識別マークをつけることは問題があります。
経済産業省「容器包装の識別表示Q&A」より
Q.86
容器包装リサイクル法の再商品化義務の対象でない容器包装に自主的に識別マークを表示することに問題はありますか?
<回答>
問題があります。
識別マークは容器包装リサイクル法に基づくリサイクルが円滑に行われるよう、消費者が容易に分別排出できるようにすることを目的としています。
識別表示の対象外であるものに対して識別マークを表示することは、消費者・事業者の混乱を招きます。
なお、本来なら対象であるものの、無地などで印刷ができない場合等、省略できる場合は、自主的に表示するのは問題ありません。
そのため業務用の容器包装や、容器包装ではないものに対しては、識別マークをつけないようにご注意ください。
あとがき
電話番号:03-5367-2327
(平日10:00~17:30受付)
識別マークについて、規定の詳細までは把握していないこともあるのではないでしょうか。
具体的な事例に対して質問がある場合は、ぜひ一度「食品表示案の作成」「食品表示チェック」をお試しくださいませ。アドバイスさせていただきます。
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