食品表示を作成する上で関わってくる法律としては、食品表示基準をはじめとして食品衛生法や計量法などがあり、これらは法規定であるため必ず従う必要があります。
法律以外でも表示に関する規定があることはご存知でしょうか。
今回のメルマガでは、「公正競争規約」についてご説明いたします。
「公正競争規約」は景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)第31条の規定により、 事業者または事業者団体が、消費者庁長官および公正取引委員会の認定を受けて、 景品類または表示に関する事項について自主的に設定する業界のルールです。
令和5年3月22日現在、103規約が設定されており、このうち表示関係は66規約(食品関係36規約、酒類関係7規約、その他23規約)となっています。
食品関係36規約の内容としては、以下になります。
マーガリン類
飲用乳
ナチュラルチーズ・プロセスチーズ及びチーズフード
アイスクリーム類及び氷菓
発酵乳、乳酸菌飲料
果実飲料等
トマト加工品
コーヒー飲料等
豆乳類
レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒー
もろみ酢
食品缶詰
粉わさび
削りぶし
凍り豆腐
生めん類
辛子めんたいこ食品
ハム・ソーセージ類
食肉
即席めん
包装食パン
鶏卵
食酢
みそ
ドレッシング類
しょうゆ
食用塩
観光土産品
はちみつ類
ビスケット類
チョコレート類
チョコレート利用食品
ローヤルゼリー
チューインガム
特定保健用食品
エキストラバージンオリーブオイル
例えば、
生めん類については、全国生めん類公正取引協議会により「生めん類の表示に関する公正競争規約」、
即席めんについては、日本即席食品工業公正取引協議会により「即席めんの表示に関する公正競争規約」、
チョコレート類については、全国チョコレート業公正取引協議会により「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」が設定されています。
各団体(公正取引協議会)に所属していない場合は、公正競争規約の内容は義務ではありません。
しかしながら、公正競争規約は公正取引委員会および消費者庁長官によって認定されたものであるため、通常はこれに従って表示をしていれば、景品表示法に違反することを防止できます。
各公正競争規約はインターネット上で公開されているため、検索して誰でも確認することが可能です。
内容は各規約によって異なりますが、
一括表示項目(名称、原材料名、内容量、賞味期限、保存方法・・・など)の表示方法や、種類別名称の定義、禁止している表示、条件に該当する場合は表示が必要となる文言等について、細かく規定されています。
(一括表示項目については、食品表示基準などの関係法令の規定内容も取り入れられています)
「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」を例に、一部抜粋して内容を以下に記載します。
「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」より(一部内容を抜粋)
★事故品を取り替える旨を、以下の通り表示する必要があります。
(1) 5.5ポイントの活字以上の大きさで統一のとれた文字で表示する。
(2) 外部から見やすい場所以外の場所に表示することができる。
(3) 輸入品にあっては、省略することができる。
★アルコール分を含有している旨の注意・警告表示を、以下の通り表示する必要があります。
(1) 製品中にアルコール分が1%以上含まれるものは、そのアルコールの含有率を表示する。
(2) 異なったアルコール分を含んだ製品を詰め合わせたもので、個包装(1粒)当たりのアルコール分が1%以上含まれるものには、そのアルコールの含有率を表示し、どの個包装のものか判別できるように表示することが望ましい。
(3) 商品名と同一視野内において、文字の前に「注意」の文字を付して表示することが望ましい。
★チョコレート類は、以下の通り定義されています。種類別名称では該当する内容で表示する必要があります。
(1) チョコレートとは、チョコレート生地のみのもの及びチョコレート生地が全重量の60%以上のチョコレート加工品をいう。
(2) 準チョコレートとは、準チョコレート生地のみのもの及び準チョコレート生地が全重量の60%以上のチョコレート加工品をいう。
(3) チョコレート菓子とは、チョコレート生地が全重量の60%未満のチョコレート加工品をいう。
(4) 準チョコレート菓子とは、準チョコレート生地が全重量の60%未満のチョコレート加工品をいう。
(5) チョコレート生地及び準チョコレート生地とは、
カカオビーンズから調製したカカオマス、ココアバター、ココアケーキ又はココアパウダーを原料とし、必要により糖類、乳製品、ココアバター以外の食用油脂、香料等を加え、通常の工程を経て製造したものであって、それぞれ次に掲げる基準に適合したものをいう。
(6) チョコレート生地
カカオ分が全重量の35%以上(ココアバターが全重量の18%以上)であって、水分が全重量の3%以下のもの(ただし、カカオ分が全重量の21%を下らず(ココアバターが全重量の18%以上)、かつ、カカオ分と乳固形分の合計が全重量の35%を下らない範囲内(乳脂肪が全重量の3%以上)で、カカオ分の代わりに、乳固形分を使用することができる。)
(7) 準チョコレート生地
①カカオ分が全重量の15%以上(ココアバターが全重量の3%以上)、脂肪分が全重量の18%以上のものであって、水分が全重量の3%以下のもの(ただし、チョコレート生地に該当するものを除く。)
②カカオ分が全重量の7%以上(ココアバターが全重量の3%以上)、脂肪分が全重量の18%以上、乳固形分が全重量の12.5%以上(乳脂肪が全重量の2%以上)であって、水分が全重量の3%以下のもの(ただし、チョコレート生地に該当するものを除く。)
「チョコレート」「準チョコレート」という区分は、
食品表示基準などの法律上で定められているものではなく、公正競争規約上で設定された分類になります。
「チョコレート」のほうが「準チョコレート」よりもカカオ分が高く、一般的には高価なものとなります。
公正競争規約に従わない場合は、準チョコレートに該当する商品について名称で「チョコレート」と表示してもただちに法律違反とはなりません。
(表示内容の程度によっては、景品表示法で問題となる可能性はゼロではありませんが)
しかしながら、公正競争規約は景品表示法をもとに設定されたものであり、消費者にとって不利益とならないような内容になっているため、
可能であれば公正競争規約に従って表示しておくと、リスクは少なくなると言えます。
※上記は一部内容を抜粋したものであり、これ以外にも規定があります。
表示作成時には、各公正競争規約本文をご確認ください。
公正競争規約について、細かい内容が多くてわかりづらいと感じた方もいるかもしれません。
弊社では、各公正競争規約に沿って「食品表示案の作成」「食品表示チェック」をおこなうことが可能です。
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