こんにちは。オージーフーズ品質管理の仲田です。
数多くの食品が販売されている中、「宇治抹茶使用」「北海道産」などと表示された商品は、通常品と比較すると、良い印象を受けて、つい購入してしまったことはないでしょうか。
こういった「特色のある原材料」表示について、食品表示基準で規定があることはご存知でしょうか。
今回のメルマガでは、「特色のある原材料」に関する表示ルールについてご説明いたします。
1.特色のある原材料とは
「特色のある原材料」とは、特色のあることを示す用語を冠する等により、一般的名称で表示される原材料に対し差別化が図られたものであり、同種の原材料に占める割合が100%使用でない場合に、「○○使用」や「○○入り」のように「使用した旨」を表示することが、消費者に優良誤認を与えると考えられるものを指します。
具体的には、特色のある原材料(○○)を使用して、以下のような表示をおこなう場合が該当します。
1. 製品表面などに「○○使用」「○○入り」のように、特色のある原材料を強調して表示する
2. 製品の名称が特色のある原材料を使用した旨を示すものである
3. 「○○を使用し、…」のように説明書きなどで特色ある原材料を使用した旨を表示する
4. 一括表示部分の原材料名として「うるち米(○○)、…」のように表示する(原料原産地表示を除く)
<具体例>
① 特定の原産地のもの
・国産大豆絹豆腐
・トルコ産へーゼルナッツ使用
・十勝産小豆使用
・国内産山ごぼう使用
・三陸産わかめを使用 等
② 有機農産物、有機畜産物及び有機加工食品
・有機小麦粉使用
・有機栽培こんにゃく芋から自社生産
・有機牛肉使用 等
③ 非遺伝子組換えのもの等
④ 特定の製造地のもの
・群馬県で精製されたこんにゃく粉入り
・北海道で製造されたバターを使用 等
⑤ 特別な栽培方法により生産された農産物
・特別栽培ねぎ入り
・栽培期間中農薬不使用のにんじん使用 等
⑥品種名等
・とちおとめ使用
・コシヒカリ入り
・本まぐろ入り 等⑦ 銘柄名、ブランド名、商品名
・宇治茶使用
・松阪牛使用
・越前がに入り
・市販されている商品の商品名○○を「○○使用」 等
(③については、食品表示基準第3条第2項の表の遺伝子組換え食品に関する事項の規定に基づき表示することが必要。)
基本的な考え方としては、「使用」、「たっぷり」等、その原材料をどのような用語で表現するかに関わらず、原材料自体を一般的名称で表示する場合は、特色のある原材料の表示には該当しません。
例えば、「黒糖、三温糖、抹茶、玉露、かぶせ茶、黒酢、りんご酢、青のり、ぶどう」等、これらはすべて一般的名称のため特色のある原材料の表示には該当しません。
ただし、「抹茶」→「宇治抹茶」のように表示したり、「ぶどう」→「巨峰」のように品種名で表示した場合は、特色のある原材料表示となります。
また、「炭焼き焙煎麦、二段仕込み、粗挽き、特製」のように製造方法について表示しているものについては、特色のある原材料表示には該当しません。
さらに、他法令、行政機関の定めるガイドライン等により、上記①~⑦に該当する原材料の表示方法が定められているものについては、当該法令等に定める方法により表示する場合に限り、特色のある原材料には該当しないものとなります。
2.特色のある原材料の表示方法
表示する割合は、表示する特色のある原材料の以下①②のいずれかです。
②特色のある原材料及び特色のある原材料と同一の種類の原材料を合わせたものに占める重量の割合
基本的には②の考え方に基づき、同一の種類の原材料に占める割合を表示するべきとされています。
使用割合が100%の場合は割合表示を省略することができます。
例えば、米としてコシヒカリと日本晴を使用している「炊き込みご飯のレトルトパウチ」において、コシヒカリを使用していることを表示する場合、以下の2つの方法が考えられます。
(例1)「コシヒカリ50%使用(米に占める割合)」
(例2)「この商品に使用されている米のうちコシヒカリは50%です」
【方法2】一括表示部分の原材料名欄において割合表示
(例) 「原材料名:うるち米(コシヒカリ50%)、…」
※特色のある原材料の割合の表示は、消費者が誤認しないという観点から強調した箇所の全てに表示する必要があるとされています。
※細分化された原材料の一部を強調する場合や、製品中ごく少量しか含まれていないものについて強調する場合の表示方法については、食品表示基準Q&A(加工-213)をご参照ください。
▼食品表示基準Q&A(※リンクをクリックすると消費者庁のページ(PDF)が開きます。)
なお、「〇%」ではなく「〇割」と表示することも可能です。
「〇割」で割合表示を行う場合には、使用量が多いとの誤認を消費者に与えないよう四捨五入ではなく、切り捨ての数字を表示する必要があります。
使用量:79% → 「79%」又は「7割」と表示。「8割」は不可。
使用量: 5% → 「○割」表示は不可。「5%」と表示。
原材料の使用割合が変動する場合は、想定される最小値を記載し、「〇%以上」 または「〇割以上」のように幅をもたせた表示を行うことも可能です。
例えば、季節により使用割合が45%~52%の範囲で変動する場合には、「45%以上」又は「4割以上」と表示できます。しかし「○%~△%」のように表示することは、含有量が多いとの誤認を与える可能性があることから認められておりません。
3.表示に当たり留意事項
特色のある原材料の表示では、実際のものより優良な製品であると誤認させる表示は不適切となります。
以下2つの事例が食品表示基準Q&A(加工-201)に記載されています。
製造者が原材料としてバターを購入して最終製品を製造している場合、自ら牛乳を使用していない製品に「牛乳使用」と表示することは、適切ではありません。「使用したバターが北海道産牛乳を用いて作られた旨」を事実 に即して表示することは可能です。
製造者が黒糖を購入して製品を製造しており、自らさとうきびを使用していない場合、「沖縄県産さとうきび使用」等と強調して表示することは、適切ではありません。「使用している黒糖は、全て沖縄県産さとうきびから作られています。」など、事実に即して表示することは可能です。
強調して表示している原材料が、その状態で仕入れて使用したのではない場合は注意が必要です。
あまおう苺ジャムを仕入れて製造した製品に「あまおう苺使用」と表示する場合や、宇治抹茶チョコレートを仕入れて製造した製品に「宇治抹茶」と強調表示する場合もこれと同様のケースになります。製造所で「あまおう」「宇治抹茶」そのものを仕入れて製造していない場合は、事実に即した表示が必要となります。
【例】
「クリームには、あまおう苺のジャムを使用しています」
「宇治抹茶入りチョコレートを使用しています」
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