2022年3月末に「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」が策定され、商品包装への「無添加」等の記載ルールが厳格化されました。
今回のメルマガでは、このガイドラインの内容についてお話しさせて頂きます。
目次
ガイドライン策定の概要
これまで「無添加」「〇〇不使用」等の食品添加物の不使用表示については特に基準が無かったため、事業者の判断で任意に表示がおこなわれていました。
しかし、食品添加物は安全性が評価されていることについて消費者に十分に理解されていないことや、消費者が商品を選ぶ際に食品添加物の不使用表示がある食品を購入していること、食品添加物の不使用表示がある食品を購入する際に一括表示欄を確認しないことが調査で分かり、消費者に誤認をあたえるような事例に関して、ガイドラインが策定されました。
過去には問題ないとされていた不使用表示内容も、今後はこのガイドラインに沿って修正が必要になる場合があります。
「もう無添加表示は使用できなくなるの?」と心配に思われた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、そうではありません。
その内容が事実であり、消費者に誤認を与えないような記載をしていれば、今後も表示することはできます。
ガイドラインでは、消費者に誤認等を与えないよう留意が必要な具体的事項がまとめられています。
食品添加物の不使用表示を一律に禁止するものではなく、事業者が自己点検を行う際に用いるものになります。
注意すべき不使用表示の例
ガイドラインでは、容器包装における表示を作成するに当たり注意すべき食品添加物の不使用表示を、10個の類型(パターン)に分けて説明されています。
その中でも、比較的多くみられると思われる「類型1」と「類型2」、および「類型9」について今回は抜粋して、説明させて頂きます。
その他の類型については、以下よりガイドライン本文や、より細かく説明した弊社コラムをご確認ください。
▼消費者庁HP 食品添加物の不使用表示に関するガイドライン
(※リンクをクリックすると、消費者庁HP 食品添加物の不使用表示に関するガイドラインのページが開きます。)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_220330_25.pdf
▼弊社コラム「添加物の不使用表示に関するガイドラインを解説!」
https://www.aussie-fan.co.jp/quality/column/post-4316
類型1 単なる「無添加」の表示
パッケージ等に、単に「無添加」とだけしか記載されていない表示が該当します。
これでは、「何が無添加なのか?」「添加物は全く使用されていないのか?」「一部の添加物だけが無添加なのか?」など、
消費者は判断できないため、誤認を与えるおそれがあるとされています。
この場合は、無添加となる対象を明確に表示する必要があります。
「無添加(保存料・甘味料)」、「着色料不使用」など、対象まで表示されていれば問題ないとされています。
※なお、大きく「無添加」と表示し、その側に小さく「着色料」と表示するなど、「無添加」だけが過度に
強調されてようなことは表示禁止に該当するとされています(「類型10」にて規定)。
類型2 食品表示基準に規定されていない用語を使用した表示
無添加あるいは不使用と共に、食品表示基準において規定されていない用語を用いる表示を指します。
無添加や不使用表示の対象として「人工甘味料」、「化学調味料」、「合成着色料」などの用語は使用されていないでしょうか?
現在、「人工」、「合成」、「化学」及び「天然」等の用語は使用することはできません。
過去にはJAS規格で「化学調味料」の用語、食品表示基準で「人工」「合成」の用語が使用されていたため、これらの用語を使用した商品は問題なく販売されていましたが、現在これらの用語は削除されています。
そのため、昔からのロングセラー商品をお持ちの場合は、こういった用語の使用がある可能性がありますのでご注意ください。
類型9 加工助剤、キャリーオーバーとして使用されている(又は使用されていないことが確認できない)食品への表示
加工助剤、キャリーオーバーとして食品添加物が使用されている(又は使用されていないことが確認できない)食品への無添加あるいは不使用の表示を指します。
例えば、製品中に原材料として「保存料」を使用していない場合に、最終製品に「保存料不使用」と使用することはできるでしょうか?
もし、製品中に使用している他の加工原材料において「保存料」が使用されている(最終製品ではキャリーオーバーとなるため表示はされない)場合は、「保存料不使用」表示はできません。
そのため「〇〇無添加」「〇〇不使用」表示をする際には、
全ての原材料の仕入れ先に確認をとり、さらにその原材料にさかのぼってまで該当する添加物の使用が無いことを確認しておく必要があります。
確認がとれない場合は、表示することはできません。
ガイドラインに基づく表示見直し措置期間について
事業者は、本ガイドラインを用いて速やかに表示の点検を行うことが必要であるとされています。
その上で、包装資材の切替えに一定程度の期間が必要であること等を考慮し、2年程度(令和6年3月末)の間に、表示の見直しを行うことが求められています。
以上、簡単ではございますが、ガイドラインの一部についてご説明させて頂きました。
パッケージ等への添加物に関する謳いを新たに作成する際や、既存商品で心当たりのある商品については、一度自己点検を行うことをお勧めします。
弊社では、「食品表示チェック」のサービスの際に、オプションとして「パッケージ文言のチェック」を承っております。
今回の添加物の不使用表示や、景品表示法に関わる点などご心配な方は、ぜひ一度お試しください。
食品添加物の表示の基本についても、弊社HP内で解説しております。
以下ご参照くださいませ。
▼食品添加物の「用途」と表示方法を食品表示のプロが解説
https://www.aussie-fan.co.jp/quality/dictionary/post-2426
品質管理全般で問題がないかご不安な方は、
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