今回は食品表示(一括表示)を作成する際の省略テクニックについてご紹介いたします。
食品表示をラベルシールに印刷して商品に貼っている方や、あらかじめ印刷されたパッケージでも小さい食品を取り扱われている方には、表示スペースが足りなくなるというのは切実な問題だと思います。
私も過去、食品メーカーで実際に食品表示を作成していた経験があるので、その気持ちがよくわかります。
ラベルシールを二つ貼ることでも対応できる場合もありますが、その分食品表示ラベルを作成する作業量が増加してしまうのでできればやりたくないですよね。
今回の内容を参考に、適切な食品表示作成をしつつ、少しでも文字数を削減していただければ幸いです。
※特に記載がない場合は一般的な加工食品の事例を紹介しております。
なお、事項名自体を省略できる条件は以下の記事をご覧ください。
(賞味期限を省略可能な事例など)
目次
・名称、内容量、賞味期限、保存方法
名称、内容量、賞味期限、保存方法についてはもともとあまり長くならないためあまり影響はないかもしれません。
それでも削減する場合は、下記のように簡潔な言い方や短い単語を使用することが考えられます。
内容量:グラム→g
賞味期限:2022年1月31日→220131
保存方法:10℃以下で保存してください→10℃以下で保存
・原材料名
表示が長くなる原因として原材料名や、別項目で解説する添加物によるところが多いと思います。
・複合原材料の括弧等を省略する
複合原材料は原則、その原材料を多い順に括弧内に記載する必要がありますが、省略できる条件があります。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
今回は上記記事のうち「複合原材料の名称からその原材料が明らかなとき」の省略テクニックをご紹介します。
①複合原材料の名称に主要原材料が明示されている場合(例;鶏唐揚げ、鯖味噌煮等)
②複合原材料の名称に主要原材料を総称する名称が明示されている場合
(例;ミートボール、魚介エキス、植物性たんぱく加水分解物等)
③JAS規格、食品表示基準別表第3、公正競争規約で定義されている場合
(例;ロースハム、マヨネーズ等)
④上記以外で一般にその原材料が明らかである場合
(例;かまぼこ、がんもどき、ハンバーグ等)
ここで省略に活用しやすいのが①②です。
①と②に分かれていますが同じ意味で、メインの原材料がわかれば括弧を省略できるということになります。
主要原材料であるアーモンドを含んだ「アーモンド入り製菓材料」「アーモンド加工品」といった複合原材料名で表示することで、括弧を省略することができます。
・同種の原材料をまとめる
食品表示基準第三条、原材料名の3に記載されている原材料は定められた名称でまとめて記載することができます。
マグロ、ブリ、サンマ→魚
※特定の種類の魚類を表示していない場合に限ります。
胡椒、唐辛子、ウコン→香辛料
※香辛料としての合計が2%以下の場合に限ります。
・添加物
続きまして添加物の事例になります。
・添加物表示の免除
添加物はキャリーオーバー、加工助剤、栄養強化に該当する場合は表示を免除されます。
該当するかどうかは表示責任者が判断いたします。
一般的に五感(味、匂い等)に作用する添加物は該当いたしませんが、
酒精や酵素等のように加熱で蒸発や失活する添加物や、
冷凍食品に使用する常温原材料に含まれる保存料(冷凍されている限り保存料が保存の役割を及ぼさない)
などはキャリーオーバーや加工助剤に該当する可能性があります。
・添加物表示方法の工夫(一例)
①添加物は誤解を与えない範囲内で平仮名、片仮名、漢字を使用可能とされているため、
とすることが可能です。
②別名、簡略名、類別名が同一の添加物はまとめて表示することができます。
その際、一部のみを抜き出して記載することはできません。
※クチナシ色素もカロチノイド色素と記載できるため、抜き出して記載できません。
③既存添加物及び一般添加物のうち、用途欄に増粘安定剤とある多糖類を二種類以上併用する場合は「増粘多糖類」と記載することができます。
ただし指定添加物の場合は多糖類であっても「増粘多糖類」と記載することはできません。
④増粘剤、安定剤、ゲル化剤は「糊料」でまとめることが可能です。
他にも原材料や添加物には様々な省略方法があります。
表示チェック・表示作成にお申込みいただいた場合、アドバイスすることが可能ですので、よろしければご依頼ください!
・製造所(加工所・輸入者)
製造所(加工所・輸入者)の所在地や氏名、名称はあまり省略できませんが、下記のような事例があります。
・製造所(加工所・輸入者)の氏名又は名称
株式会社を「(株)」「KK」、有限会社を「(有)」等と略すことが可能です。
・製造所(加工所・輸入者)の所在地
政令指定都市もしくは県庁所在地の市の場合、道府県名を省略することができます。
道府県名ということで、「東京都」は省略可能ではないことにご注意ください!
また、同じ都道府県内に同じ町村名がない場合は郡名を省略可能です。
あとがき
今回は以上となります。
少しでも実務のご参考になれば幸いです。
弊社、「表示のチェック」(7,200円~)、「表示案の作成」(18,000円~)にご依頼いただけましたら、より詳しい省略アドバイスも可能です。
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