加工食品を製造するにあたり、「複合原材料」を使用することが多いと思います。
「複合原材料」とは2種類以上の原材料からなる原材料のことです。
「醤油」や「チョコレート」「唐揚げ」などの既製品(中間加工原料)を仕入れて、原材料として使用している場合が該当します。
この複合原材料については食品表示基準の中で表示方法の規定がありますが、弊社で日々表示チェックを行う中で、表示方法に誤りがあるケースが散見されます。
今回は複合原材料表示での注意いただきたいポイントについて、ご説明させていただきます。
目次
複合原材料の基本的な表示方法等については、弊社コラムでも以前にご説明しておりますので、ご参照ください。
複合原材料を分割して表示できる?できない?
原則仕入れた状態で記載する
一部の例外を除き、「原材料名」の表示では基本的に原材料は原則仕入れた状態で記載することになっています。
例えば「干し大根」の状態で仕入れたものは、「大根」ではなく「干し大根」と表示する必要があります。
また「チョコレート」の状態で仕入れたものは、その原材料(「砂糖」「カカオマス」「全粉乳」など)を分割して表示することはできず、「チョコレート」で表示することとなります。
分割して表示できるケースとは
ただし、分割して表示ができるケースもあります。
「単に混合しただけなど、原材料の性状に大きな変化がない複合原材料を使用する場合」については、次の2つの条件から総合的に判断して、分割して表示することが可能です。
【条件1】
中間加工原料を使用した場合で、消費者がその内容を理解できない複合原材料の名称の場合
【条件2】
中間加工原料を使用した場合で、複数の原材料を単に混合(合成したものは除く。)しただけなど、消費者に対して中間加工原料に関する情報を提供するメリットが少ないと考えられる場合
食品表示基準Q&A(加工-52)上で、分割して表示ができる複合原材料の例として、以下が記載されています。
- 砂糖、ココアパウダー、アーモンドパウダー、食塩を混合した「ココア調製品」
- 砂糖と卵黄を混合した「加糖卵黄」
- もち米粉に小麦グルテン及び加工でん粉が混合された「もち米粉調製品」
分割して表示できない例
最初の例の「チョコレート」は、製造過程の中で練り上げたり、温度調整(テンパリング)等をおこなっており、「単に混合しただけ」の条件には当てはまらないため、分割して表示できないということになります。
仕入れた状態で表示していなかったり、分割できる条件に当てはまらないものを分割表示している場合は、食品表示基準上は間違っていることになりますので、ご注意ください。
※なお、複合原材料の一般的な名称が存在し、性状に大きな変化がある場合であっても、同じ構成の複合原材料を複数使用した場合など、そのまま表示した場合に消費者に分かりにくい表示となる場合については、必要に応じてもとの原材料に分割して表示することもできるとされています。
複合原材料に括弧を付して中身を表示する必要がある?無い?
基本的に「原材料名」の表示では、複合原材料はその名称の次に括弧を付して、当該複合原材料の原材料を当該複合原材料の原材料に占める重量の割合の高いものから順に、その最も一般的な名称をもって表示することになっています。
ただしこの括弧内の構成原材料の表示については、以下(1)または(2)に該当する場合には省略することができます。
(1) 複合原材料の製品の原材料に占める重量の割合が5%未満であるとき
(2) 複合原材料の名称からその原材料が明らかなとき
① 複合原材料の名称に主要原材料が明示されている場合
(例:鶏唐揚げ、鯖味噌煮等)
② 複合原材料の名称に主要原材料を総称する名称が明示されている場合
(例:ミートボール、魚介エキス、植物性たんぱく加水分解物等)
③ JAS規格、食品表示基準別表第3、公正競争規約で定義されている場合
(例:ロースハム、マヨネーズ等)
④ 上記以外で一般にその原材料が明らかである場合
(例:かまぼこ、がんもどき、ハンバーグ等)
括弧内の表示が省略可能になる例
前項の「チョコレート」については、(2)の③に記載のある「公正競争規約」で定義されているため、括弧内の表示は省略可能となります。
括弧を付して表示する必要がある例
例えば、原材料として「ホワイトソース」を製品中5%以上使用している場合に、省略して「ホワイトソース」だけの表示をすることはできません。
括弧を付して「ホワイトソース(乳等を主要原料とする食品、チキンブイヨン、バター、・・・)」のように表示する必要があります。
複合原材料の名称は何と書けばいいか?
複合原材料に限らずですが、原材料名は「その最も一般的な名称」で表示することとなっています。
複合原材料の名称を何と書くべきか迷った際は、基本的には複合原材料自体の一括表示や規格書に記載されている「名称」の内容を参考にすることを推奨いたします。
なぜなら「名称」欄には、その複合原材料の内容を表す一般的な名称が記載されているからです。
ちなみに「商品名」は「最も一般的な名称」では無いことが多いので、そのまま複合原材料の名称として使用すると、不適切になる可能性もあります。
複合原材料の表示名を考えるときは「名称」の内容を参照して、さらに複合原材料の原材料(括弧内の表示)を省略したい場合は、前項の省略規定に該当しているかどうかをご確認ください。
あとがき
電話番号:03-5367-2327
(平日10:00~17:30受付)
複合原材料の表示方法について不明な点があったり、具体的な事例に対して質問がある場合は、ぜひ一度「食品表示案の作成」「食品表示チェック」をお試しくださいませ。アドバイスさせていただきます。
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今回の記事は【オージーフーズ品質管理部メールマガジン2025.4.21発刊号】を元に
WEB公開用記事として編集いたしました
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