「食品表示の作成ってどう行えばいいの?」「食品表示の法律って何?」「食品表示法だけ守っていればいいよね?」等多くの質問を寄せられます。
食品表示に関する法律は、一例ですが下記があります。
こんなに多いのかと驚かれる方もいるのではないでしょうか。
簡単ではありますが、解説をしていきます!
目次
【食品表示法】管轄:消費者庁
これまで各省庁の管轄であった「食品衛生法」「JAS法」「健康増進法」の3つの法律のうち、食品表示に関する分野を一元化した「食品表示法」が、2015年4月1日から施行されました。
食品表示の作成に当たっては必ず表示しなければならない項目が決まっています。
食品基準には、食品表示に関わる法律の中でも基礎となる多くの内容が定められています。基本的な食品は、食品表示法を基に作成しなければなりません。加工食品の食品表示作成に関わってくるものは食品表示基準の第二章です。また、個別に定められている点について、該当するか確認していくという流れになります。
詳しくは過去の記事をご参照下さい。
【食品衛生法】管轄:厚生労働省
飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もって国民の健康の保護を図ることを目的としています。
食品衛生法の食品表示に対する規制対象は容器包装入り食品です。
主に食品や添加物に関する事項について定められています。
また、下記に記載する食品について、規格基準に合わない食品は製造、使用、販売が禁止されています。
清涼飲料水・粉末清涼飲料・氷雪・氷菓・食肉及び鯨肉(生食用食肉及び生食用冷凍鯨肉を除く。)・生食用食肉(牛の食肉(内臓を除く。)であって、生食用として販売するものに限る。)・食鳥卵・血液、血球及び血漿・食肉製品・鯨肉製品・魚肉ねり製品・いくら、すじこ及びたらこ(スケトウダラの卵巣を塩蔵したものをいう。)・ゆでだこ・ゆでがに・生食用船魚介類・生食用かき・寒天・穀類、豆類及び野菜・生あん・豆腐・即席めん類・冷凍食品・容器包装詰加圧加熱殺菌食品
食品に使用していい添加物、使用量も定められています。
参照▼
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000197196.html
【JAS法(日本農林規格等に関する法律)】管轄:農林水産省
食品や農産物等について、品質、生産流通方法等に関するJAS規格を定めています。基準を満たす製品に対してはJASマークが付与され、表示することができます。
食品表示では、原料原産地表示・有機食品・特色のある原材料等について定められています。
参照▼
https://www.maff.go.jp/j/syouan/hyoji/gengen_hyoji.html
▼過去のコラムで有機食品について解説しています!
【健康増進法】管轄:厚生労働省
国民の栄養改善や健康の増進のための措置を講じることにより、国民保健の向上を図ることを目的としています。(第1条)
食品表示に関係してくるものとしては、保健機能食品、いわゆる特定保健用食品・栄養機能食品・機能性表示食品です。
健康増進法第65条第1項では、「何人も、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をしようとするときは、健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項について、著しく相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。」と定めています。
例えば、花粉症に悩んでいる人が「花粉症に効果あり」と表示されている商品を見つけたらついつい手にとってしまう…なんてこともありますよね。もちろん手に取った人は効果を期待して購入します。しかし、「花粉症に効果あり」等医薬品的な効果効能を表示するものは医薬品医療機器等法上の医薬品とみなされ、原則として、医薬品医療機器等法(薬機法)上の承認を受けずにその名称、製造方法、効能、効果に関する広告をしてはならないとされています。(医薬品医療機器等法第68条)
表示をみて、効果があると期待をし、消費者は購入します。これを信じた消費者が適切な診療機会を逃すおそれがあるため、この法律は定められています。
▼過去のコラムで機能性表示食品について解説しています!
【景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)】管轄:消費者庁
商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘因を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的としています。
景品表示法は食品に限らず、商品全般にあたります。
▼過去のメルマガで景品表示法について解説しています!
【計量法】管轄:経済産業省
計量の基準を定め、適正な計量の実施を確保することにより、経済の発展および文化の向上に寄与することを目的としています。
こちらも食品に限って定められているものではありません。
政令で定める商品(特定商品)に該当する食品については定められた単位(㎏、g、ml、l)で記載します。
▼過去のコラムで内容量について解説しています!
【牛トレーサビリティ法】管轄:農林水産省
この法律が定められた背景には、BSE(牛海綿状脳症)の感染があります。
BSEとは牛の病気の一つで、感染した場合異常行動、運動失調などを示し、死亡するとされています。かつて、BSE感染牛の脳や脊髄などを原料としたえさが他の牛に与えられたことが原因で英国などを中心に感染が広がり、日本でも感染が起きました。
国内で飼養された牛肉について、特定牛肉に該当する場合は、牛の移動を把握し、感染した際に牛の追跡を可能とするために、①個体識別番号の表示②帳簿の備付け(仕入れ及び販売)が義務となっています。
<特定牛肉>
牛個体識別台帳に記録された牛から得られた牛肉であって、とさつ、部分肉製造、卸売り段階における枝肉、部分肉、精肉小売り段階における精肉
<対象外牛肉>
- 牛肉を原料又は材料として「製造」したハム、ソーセージなど、「加工」した牛豚合挽肉など又は「調理」した味付けカルビなど
- 牛肉を肉ひき機でひいたもの
- 牛肉の枝肉への整形過程で除去される頭部に含まれる「舌」及び「頬肉」、部分肉への整形過程で発生する「くず肉」
▼参照
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/bse/index.html
https://www.maff.go.jp/kyusyu/syohianzen/nouchiku/attach/pdf/ushitore-4.pdf
【米トレーサビリティ法】管轄:農林水産省
① 米穀等に関する事故が発生した場合に、流通ルートを速やかに特定して回収するとともに、その原因を特定すること
② 産地情報を一般消費者まで伝達することで、消費者の利益を守ることを目的としています。
対象品目は下記です。
<対象品目>米穀:もみ、玄米、精米、砕米
主要食糧に該当するもの:米粉、米菓生地、米こうじ等
米飯類:各種弁当、各種おにぎり、ライスバーガー、赤飯、おこわ、米飯を調理したもの等
また、対象事業者は、対象品目となる米・米加工品の販売、輸入、加工、製造又は提供の事業を行うすべての方です。
対象事業者の義務は、
①取引等の記録の作成・保存 ②産地情報の伝達 です。
食品表示を作成する場合は、「国産」「アメリカ産」等産地を記載するか、WEBサイト・お問い合わせ番号を表示する必要があります。
▼過去のコラムで米トレーサビリティ法について解説しています!
https://www.aussie-fan.co.jp/quality/column/post-5028
【酒類業組合法】管轄:国税庁
酒類の表示について定められている法律です。
酒類とは、アルコール分1度以上の飲料をいいます。
他の食品と異なる点としては、保存方法・消費期限又は賞味期限・栄養成分表示が酒類は省略可能、原材料名・アレルゲン・原産国名は酒類に関して表示不要な点です。
上記とは別に酒類独自のルールが定められています。
▼過去のコラムで酒類の表示について解説しています!
【資源有効利用促進法】管轄:経済産業省
廃棄物の発生抑制、再利用、再資源化の対策を行い、循環型経済システムの構築を目的としています。
下記のマークは識別マークといい、皆様も日常生活でよくみかけるかと思います。
対象となっている容器包装に分別回収を促進するために表示が義務となっております。義務化される前は外見上容器の素材を消費者が識別することは困難である、という問題がありました。しかし、このマークが商品にあるだけで消費者は適切な分別ができるようになります。
食品表示で関係あるものとしては、マヨネーズ(プラスチック容器)や清涼飲料(ペットボトル)、カップ麺(プラスチック容器)等多岐にわたります。
ちなみに、こちらは食品にのみ定められているものではありません。
洗剤・シャンプーなどのプラスチック容器も、有効利用できる点において食品の容器と何ら変わりはないため対象です。
▼過去のコラム・メルマガで資源有効利用促進法、識別マークについて解説しています!
▼参照
https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/data/pamphlet/pdf/pamphlet_mark_gimu.pdf
以上簡単に解説いたしました。
しかし、上記の法律に限らず、更に多くの法律、条令、食品分類ごとの個別の項目が存在します。よって、一つの法律だけを確認すればOK!ともいかないことが現状です。
更に全国で販売する食品ともなると全国で各地域に定められている条例にも対応しなければならない…等以外と知られていないルールもあります。
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