食品の栄養成分表示の記載内容や記載方法、義務化された項目について、プロが解説いたします!
従来は任意でしたが、現在は義務となっております。
新表示での、栄養成分表示について知っておきたいポイントを重点的に解説いたします。
目次
新表示とは
食品の表示について定めた新しい法律『食品表示法』が平成27年4月1日施行されました。
食品表示法施行以前の食品表示は、食品衛生法、JAS法、健康増進法と目的の異なる3法にルールが定められており、複雑かつ分かりにくいと言われていました。食品表示法は、食品衛生法、JAS法、健康増進法の表示に関する規定を統合したものです。
食品表示法はすでに施行されていますが、食品表示ラベルの記載について、加工食品においては、現在(平成30年5月)は経過措置期間とされています。
食品表示法施行前の基準で作成されたものを旧表示、食品表示法に基づいて作成されたものを新表示という表現で通称されています。
栄養成分表示の義務化
新表示への切り替えには、旧表示からの変更点が分かれば可能です。
しかしながら、変更点が多岐にわたり一言で「ここが変わった!!」とまとめることが難しいのが現実です。そんな中、旧表示では任意から、新表示で義務になった項目があります。それが、栄養成分表示です。
旧表示でも、販売に供する食品の容器包装及び添付文章に栄養成分の強調表示をする場合や自主的に栄養成分の表示を行う場合は、栄養表示基準(健康増進法)に従った表示をしなければならなかったので、栄養表示基準に従った、栄養成分表示のある旧表示の商品もあります。
新表示では、栄養成分表示が義務化になり一般消費者向けの加工食品及び添加物には、熱量(エネルギー)、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の項目の表示が必須です。
ちなみに食物繊維、飽和脂肪酸は表示推奨項目となっています。
併せて、「100g当たり」「100ml当たり」等食品の単位も記載します。
食品の特性や区分によっては、その他の栄養成分が表示されることになります。
「うちの商品は、すでに栄養成分表示をしているから問題ない。」と感じる方もいるかもしれません。しかしながら、新表示では旧表示と記載内容や記載方法が異なるので、そのままでは使用できません。
栄養成分表示の記載方法
旧表示で栄養成分の表示がある商品について、健康増進法に従って記載していていても、新表示でそっくりそのまま同じ表記のまま使用することはできません。
項目名
まずは、項目名です。
新表示では、項目名を『栄養成分表示』と決められた6文字で記載することが義務付けられています。
旧表示では、『栄養成分表』でも『栄養成分値』でもよかったため、旧表示の項目名のまま、新表示に移行すると正しい項目名ではない場合があります。
ナトリウム(食塩相当量の義務化)
次に、ナトリウムの表示です。
旧表示では、「ナトリウム」として記載していましたが、新表示では「食塩相当量」としての表示が必要です。食塩相当量は、ナトリウムから換算して値を求めます。
食塩相当量(g)=ナトリウム(mg)×2.54÷1000
また、ナトリウムの単位はmgで記載していることが多く、うっかり単位をmgのままで、数値だけをさしかえると実際の含有量と異なる表示になってしまいます。
旧表示では、定められていなかった最小表示の値(数値の丸め方)も定められました。食塩相当量は、小数点第1位まで記載する必要があります。
しかしながら、小数点第1位に満たない場合であって、ナトリウム量が0と表記できる量以上である場合は、有効数字1桁以上で表示をします。
ナトリウム量が0と表記できる量未満である場合は、食塩相当量を0と表示することができます。0(ゼロ)と表記できる基準については、「食品表示基準 別表第9」をご確認ください。
関連記事はこちら(義務となっている項目や注意点など)
ちなみに、当WEBサイトでは栄養成分表示以外にも、新表示切り替えに関する解説講座記事を多数アップしております。より詳しく知りたい方はぜひ読んでみてください。
栄養強調表示の基準値について
栄養強調表示の基準値も旧表示と新表示では異なる成分があります。
以前は、基準値よりも含有量が多く「高い旨」を謳えていたのが、基準値が変わったことにより、含有量が変わらないのに高い旨を謳えない場合があります。
旧表示で強調表示をしている食品は、栄養成分の補給ができる旨の表示の基準値(食品表示基準 別表第12)、栄養成分又は熱量の適切な摂取ができる旨の表示の基準値(食品表示基準 別表第13)を改めて確認する必要があります。
栄養成分値の求め方
表示する値を得る方法として分析値に加えて計算値、参照値又はこれらの併用値を用いることができます。
いずれの方法でも、結果として表示された含有量に合理的な根拠があれば、それらの表示をすることができます。
多品種の食品を取り扱っている場合は、その全てで分析値を使用すると経費がかさんでしまうため、計算値を使用することも想定されます。
その場合、気を付けたいのが製造工程で水分が蒸発する工程がある、油を吸収する工程がある商品です。水分の蒸発率や吸油率も忘れずに計算式に組み込みましょう。
単に仕込み時の重量を使用して値を求めると実際の商品とかけ離れた数値を記載してしまう恐れがあるからです。
栄養成分の計算方法をより詳しく解説する関連記事はこちら
経過措置期間の終了(完全義務化)は平成32年3月末
旧表示と新表示では、記載するべき内容や記載方法など変更箇所が多岐に渡っており、一括表示をまったく変更せず販売し続けられる食品の方が少なく、大多数の食品は変更を余儀なくされます。
栄養成分表示の用語辞典(義務が免除となる事例もこちら)
あとがき
今回は、食品表示の栄養成分表示をテーマにして大切なポイントを解説いたしました。
食品表示作成ご担当者様にお役立ていただけましたら幸いです。
経過措置期間はすでに終了しておりますが、万が一未変更の商品があり、どう変更したらよいかわからない・・・
という方は是非オージーフーズの食品表示チェックにお申し込みください!
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