添加物無添加・不使用とは。表記条件や食品表示の例をプロが解説

今回の品質管理コラムは食品に対する「添加物無添加・不使用」の表記についてです。

※本記事は2019年11月に作成したものです。その後、消費者庁の食品表示法等(法令及び一元化情報) に「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」がまとめられましたのでこちらも併せてご確認ください。※リンクをクリックすると消費者庁のページが開きます。

添加物を使う様子

私事ではありますが、一人旅が好きでこの前ようやく全都道府県に行くことができました。そうやって旅行をすると、必ず行ってみるのがお土産屋さん。実際に全部買う、なんてことはとてもできませんが、各地の特産物を使ったお土産の数々には目移りしてしまいます。

しかし、ついつい職業柄か気になってしまうのはそのお土産に書かれた一括表示や、パッケージ・POPに書かれた謳い文句だったりします。

そうしたところによく書かれているのが…

「○○(用途名や一括名)無添加」や「添加物不使用」という文字。

でも、これって本当に「○○(用途名や一括名)無添加」「添加物不使用」と食品に書いていい商品なのでしょうか?

今回はその条件と、最近の動きについて解説いたします。

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無添加・不使用表示の条件

消費者庁の食品表示法等(法令及び一元化情報) 食品表示基準Q&Aについて(PDF)「(加工-90)「添加物は一切使用していません」、「無添加」などと表示をすることはできますか。」というQ&Aがあります。※リンクをクリックすると消費者庁のページが開きます。

また、一部の公正競争規約にも無添加に関する記載があります。

※2019年11月に作成したものです。その後「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」がまとめられましたのでこちらも併せてご確認ください。

食品表示基準Q&A(加工-90)のポイントは以下の三つで、そのうち1と3について解説いたします。

  1. 一括表示に書かれていなくても食品添加物が使用されている場合がある。(キャリーオーバー・加工助剤・栄養強化目的)
  2. 何を加えていないか具体的に表示する。
  3. 通常添加物を使用していない食品に無添加は適切でない。

一括表示に書かれていなくても添加物が食品に使用されている場合とは

1ですが、上白糖や食塩など一見食品添加物を使用していないように思えますが、使用している製品もあります。

例えば上白糖の製造では添加物として活性炭、イオン交換樹脂等を使用することがありますが、これらは最終製品に残存しないため、加工助剤となり表示義務はありません。

商品によっては、仕入れている原材料がさらに複数の原材料から作られていたり、原材料の原材料のそのまた原材料の……と続いていたりする場合もあるかと思いますが、基原原料まで含めた全ての原材料で、表示されていないものも含めて一切食品添加物を使用していない場合に限って、無添加と表示することができるようになっています。

通常添加物を使用していない食品に無添加は適切でない場合とは

3は食品表示基準第九条において実際のものより著しく優良又は有利であると誤認させてはならないことになっております。

生鮮食品をただ単に加熱や混合したのみの加工食品など、一般的に添加物が使用されない食品において無添加と表示することは、表示していない同じ種類の食品と実際の差異がないにも関わらず、有利であると誤認させる恐れがあるため、適切ではありません。

また、これらは景品表示法にも抵触する可能性があります。

最近の動き

添加物の無添加・不使用に関して2019年の大きな動きをご紹介いたします。

山崎製パン株式会社様が2019年3月に「イーストフード、乳化剤不使用」等の強調表示についてという見解を発表して話題となりました。

  • イーストフード、乳化剤不使用と謳っている他社製品に、同じ物質を含むもしくは同等の効果を持つ食品が使用されており、イーストフード、乳化剤を用いているのと同じ状態であること。
  • イーストフードや乳化剤は安全性が公認され広く使用されている食品添加物であり、不使用と謳うことは食品安全面、健康面で、優位性がある商品のように誤認される恐れがあること。

といった内容が記載されております。

また、「食品添加物表示制度に関する検討会」第5回食品添加物表示制度に関する検討会(令和元年9月20日開催)において、「「無添加」、「不使用」の表示の在り方」が議論されました。

【資料3】消費者庁説明資料(論点3 「無添加」、「不使用」の表示の在り方) (PDF)

【議事録】第5回食品添加物表示制度に関する検討会議事録 (PDF)

※リンクをクリックすると消費者庁のページが開きます。

この中で誤認につながる「無添加」「不使用」という表記を規制すべきではないか、禁止すべきではないかといった意見も出されております。

そもそも食品添加物は、食品安全委員会が安全性評価を評価し、添加物の使用量、使用の基準などが厚生労働省によって設定され、安全性が確保されております。

少しでも商品をアピールしたいという気持ちはよくわかります。

ですが、適切な食品表示を行っていくと共に、食品添加物が危険であると誤解をされないような表現を心掛ける時代になっているのかもしれません。

食品添加物の表示について関心がある方は、他にもスタッフが書いた記事がありますのでぜひ併せて読んでみてください。

食品添加物について解説します。保存料や甘味料など(食品表示基準 別表第6)で示された8種類の用途に使用される添加物は、その用途名を併せて表示することが必要です。食品添加物の表示にも色々なルールがあり、それらを正しく理解して間違いのない食品表示をしましょう。
食品添加物の「用途」の表示についてプロが解説。わかりやすい食品表示講座です。添加物による効果だけで判断すると、指定されている用途と間違える事があります。複数用途のある食品添加物は主な目的とする用途の記載が必要です。表示方法を解説します。

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詳しくは、品質管理業務サポートサービスの「食品表示チェック」のページや「食品表示案の作成」のページをご覧くださいませ。

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関根
品質管理歴14年。食品表示検定上級の資格を持っています。 前職はパン・米飯メーカー。 好きな食べ物は甘いもの、かつ丼、酢飯。

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