食品工場、飲食店、小売店などでは様々な「秤(はかり)」が使用されています。
現在一番一般的なのは、上に物を乗せるとデジタルで質量が表示される秤でしょうか。
針が円を描くように動いて質量を指すばね秤や、コンベアを流れる商品を量るウェイトチェッカー(オートチェッカー)、学校の授業で使用した人もいるかもしれない天秤はかりといったものもあります。
これらの秤のうち一部は、定期的に検定(検査)する必要があります(特に商品を包装する前後で計量を行っている場合は要注意)。
今回はそんな秤の検定(検査)について解説いたします。
計量法については下記もご覧ください。
検定(検査)が必要な秤の条件
取引・証明
秤の種類は数あれど、定期的に検定(検査)が必要な秤は「取引」か「証明」に使用されている秤に限定されています。
取引・証明は計量法で
有償であると無償であるとを問わず、物又は役務の給付を目的とする業務上の行為
証明
公に又は業務上他人に一定の事実が真実である旨を表明すること
と定められています。
食品関連では
・食品表示に記載されている内容量通りに質量を計量する。
・肉や野菜を「〇g当たり●円」で販売するために計量する。
が主な事例で、どちらも「取引」にあたります。
「証明」は官公庁に対して何らかの報告を行うための計量などが該当しますが、あまり該当する方はおられないかもしれません。
取引・証明ではない例として、「原材料の計量」「仕掛品(半製品)の抜き取りチェック」等、内部的な行為が該当します。
取引・証明に使用できる秤
取引・証明に使用できる秤には下記のようなマークが付いています。
特定計量器を利用する場合
このマークがない秤は取引・証明に使用できません。
秤の種類
非自動はかり
非自動はかりとは「計量値を得るまでの過程において、静止状態において計量を行うものをいう。」と経済産業省計量行政室から示されているのですが……よくわかりませんね。
具体的には、
・物を乗せたときに表示された質量を人が読み取って判断する秤
・一定の質量まで手動で物を追加していく必要がある秤
といったものが該当します。
つまり、計量している途中で作業者が席を外したら作業が続かない秤はほとんど「非自動はかり」ということになります(一部自動はかりでも作業が続かないものもあります)。
「卓上秤」と聞いて思い浮かべる秤はほとんどがこの非自動はかりです。
非自動はかりは下記の条件に両方該当する場合、定期的な検査が必要となります。
・取引・証明に使用されている。
・下記(1)(2)(3)の何れか
(1) 一目盛の値(目量)が10mg以上であり、かつ、目盛標識(目盛の数)が100以上のもの((2)(3)を除く)
(2) 手動天びん・等比皿手動はかりのうち、表記された感量(量ることのできる最低量)が10mg以上のもの
(3) 貨物自動車に取り付けて積載物の質量の計量に使用する質量計
自動はかり
自動はかりとは、「計量結果を得るために所定のプログラムに従って動作し、計量過程で操作者の介在を必要としないはかり」になります。
計量法では下記の四つが規定されております、(これらに該当しない「その他の⾃動はかり」もあります)。
・ホッパースケール
・コンベヤスケール
・充塡⽤⾃動はかり
上記四つの自動はかりは下記の条件に該当する場合、今後定期的な検定が必要となります。
・取引・証明に使用されている。
・一目盛の値(目量)が10mg以上であり、かつ、目盛標識(目盛の数)が100以上のもの
※⾃動捕捉式はかりの場合、量ることができる最大値(ひょう量)が5kgを超えるものは対象外。
上記四つを使用している場合、
2024年3月31日以前から使用している場合、2027年3月31日までに検定を行い、以後定期的な検定が必要となります。
2028年3月31日以前から使用している場合、2031年3月31日までに検定を行い、以後定期的な検定が必要となります。
上記以降(①は2024年4月1日、②は2028年4月1日)に新たに使用する場合は、検定に合格した秤である必要があり、以後定期的な検定が必要となります。
なお、上記のスケジュールは当初⾃動捕捉式はかりで2年、ホッパースケール、コンベヤスケール、充塡⽤⾃動はかりは5年早く行われる予定でしたが、2021年7月27日と2022年8月5日に延長の公布が行われ、現在のスケジュールとなりました。
計量制度見直し
定期的な検定(検査)とは
では、定期的な検定(検査)とは具体的に何をすればいいのでしょうか?
それは、非自動はかりと自動はかりで異なります。
・非自動はかり
2年に1回定期検査を行う必要があります(新たに検定済みの秤を購入した場合は初回検査が免除となる場合があります)。
最寄りの計量検定所に連絡し、指示に従ってください。
私の経験では、最初に指定された書類を提出すれば2年ごとの検査日が近付いたときにお知らせが届きました(計量検定所により異なる場合があります)。
都道府県計量行政機関等(計量検定所)
・自動はかり
定期検査はありませんが、検定の有効期間が2年のため、実質2年に1回検定を受ける必要があります(適正計量管理事業所の場合は有効期間6年)
検定は指定検定機関ので行う必要があります。
指定検定機関
秤がどれに該当するかや、詳細な手続き等は該当する秤の製造業者にお問い合わせください。
まとめ
食品の製造・販売においては、食品表示基準や食品衛生法などに目が行きがちですが、計量法で定められている項目も注意が必要です。
特に商品を包装する前後で計量を行っている場合は、計量に使用する秤の検定(検査)が必要となる可能性が高いです。
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