食品表示の栄養成分表示の義務項目と食事摂取基準の目安量について、わかりやすい例示を添えて丁寧に解説します。
2015年4月1日に食品表示法が施行され、一般用加工食品に栄養成分表示が義務付けられてから、もうすぐ10年を迎えようとしています。今回のコラムでは、数値についての考え方を解説いたしますので、皆さまの生活の中でぜひ参考にしていただけましたら幸いです。
目次
栄養成分の基本的な義務項目の摂取目安について
栄養成分表示の基本的な義務項目としては、「熱量(エネルギー)、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量」となっています。
商品によっては、「糖質」「食物繊維」や、ビタミン・ミネラル類なども表示されていることがありますが、そちらは任意で表示されているもの(別で栄養強調表示をおこなっている場合は義務)となります。
健康的な生活をする中で栄養成分をどのくらい摂取するべきなのかは、年齢・体格・運動量などにより変わってくるものですが、厚生労働省より発表されている「日本人の食事摂取基準」に1日の栄養摂取量の目安が示されています。
実際にどのような数値になっているのか、栄養素別に見ていきましょう。
熱量(エネルギー)の摂取目安量
食事摂取基準では、年齢別・性別に分け、さらに身体活動レベルを「低い、ふつう、高い」の3つに分けて、推定エネルギー必要量が示されています。
ここでは、「ふつう(自立しているもの)」の場合の推定エネルギー必要量を抜粋して、以下の表に示します。
例えば、身体活動レベルが普通である30~49歳の女性の場合、三食+おやつ等で摂取するエネルギーは、一日に2,050kcalが必要量となっています。
運動量によってエネルギーの必要量は大きく変わるため、休日に激しい運動をした日は「身体活動レベル(高い)」、逆に家にこもって静養した日は「身体活動レベル(低い)」の値を目安にしてみてください。
たんぱく質の摂取目安量
食事摂取基準においてたんぱく質は、推定平均必要量、推奨量および目標量が示されています。ここでは、推奨量を抜粋して、以下の表に示します。
最近では、「高たんぱく」を訴求した商品も多く販売されていますね。
サラダとパンだけの食事のときなど、ちょっとたんぱく質が足りないなと感じたときには、栄養成分表示を見て、たんぱく質が高い一品を足してみるのも良いかと思います。
脂質の摂取目安量
脂質は、栄養成分表示では「g」単位で数値が記載されていますが、食事摂取基準では目標量として「%エネルギー」の数値で示されています。
「%エネルギー」とは、必要なエネルギーのうち何パーセントをそれぞれの栄養素から摂るかを示したものになります。
1日の脂質摂取目標量は、1歳以上では全世代ともに、総エネルギー(総摂取カロリー)の20~30%となっています。
実際の目標量(g)は、「エネルギー×脂質目標量(%)÷9」で計算して算出します。
(この「9」の数値は、脂質1gから約9kcalのエネルギーが産生されるためです)
例えば、30~49歳の女性で、2,050kcalを摂取する人の場合、脂質の目標量は約45~68gとなります。
フライドポテトや揚げ物、ポテトチップスなどは、脂質が多めになっています。それはわかっていても、美味しいので食べたくなりますよね。これらを食べた日の残りの食事では、脂質の取りすぎに注意するようにして、1日当たりで目標量を超え過ぎないように意識すると良いかと思います。
炭水化物の摂取目安量
炭水化物も脂質と同様に、食事摂取基準では目標量として「%エネルギー」の数値で示されています。
1日の炭水化物の摂取目標量は、1歳以上では全世代ともに、総エネルギー(総摂取カロリー)の50~65%となっています。実際の目標量(g)は、「エネルギー×脂質目標量(%)÷4」で計算して算出します。
(この「4」の数値は、炭水化物1gから約4kcalのエネルギーが産生されるためです)
例えば、30~49歳の女性で、2,050kcalを摂取する人の場合、炭水化物の目標量は約256~333gとなります。
食塩相当量の摂取目安量
食塩(ナトリウム)については、日本人は多く摂り過ぎていることのほうが多いため、目標量についても「未満」で設定されています。
食塩の取りすぎは、高血圧をはじめとした生活習慣病に深く関わってきます。健康のためには栄養成分表示の食塩相当量の値を意識し、過剰摂取しすぎないようにしたいですね。
なお、高血圧及び慢性腎臓病(CKD)の重症化予防のための食塩相当量の量は、男女とも6.0 g/日未満とされています。
栄養成分表示の値で注意したいポイント
栄養成分表示の各項目の値は「100g当たり」で記載されている場合と、「1個当たり」や「1製品あたり」で記載されている場合があります。
「100g当たり」で記載されている場合は、その商品の内容量や摂取量を踏まえて、栄養成分値を考える必要があるため注意しましょう!
参考資料
厚生労働省HP(リンクをクリックすると厚生労働省のページ(PDF)が開きます)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html
保健機能食品について
保健機能食品とは、国が定めた安全性や有効性に関する基準などに従って食品の機能が表示されている食品です。
「栄養機能食品」「特定保健用食品」「機能性表示食品」の3つがあります。
各商品のパッケージには、栄養成分表示に加えて、それぞれ義務となる表示事項が別途定められています。
摂取目安量などの表示をよく確認した上で、健康に良いからと過剰摂取することなく、規則正しく主食・主菜・副菜を基本にしたバランスの良い食事をとることが大切です。
あとがき
電話番号:03-5367-2327
(平日10:00~17:30受付)
何気なく目にする機会の多くなった栄養成分表示ですが、消費者の方の健康を守るために義務化され、食品メーカー各社の尽力があったうえで、すべての食品に表示されているものです。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
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