今回のコラムはチーズの種類についてまとめました。
食品の原料として使う事の多いチーズですが、良く分からないという声も聞きますので、食品表示・品質管理的な目線でまとめて見ました。
1.ナチュラルチーズとプロセスチーズの違い。
食品表示では大分類としてナチュラルチーズとプロセスチーズの2種類があります。
乳、バターミルク(バターを製造する際に生じた脂肪粒以外の部分)、クリーム又はこれらを混合したもののほとんどすべて又は一部のたんぱく質を酵素その他の凝固剤により凝固させた凝乳から乳清の一部を除去したもの又はこれらを熟成したもの。
若しくは、乳等を原料として、たんぱく質の凝固作用を含む製造技術を用いて製造したものであって、(上記と)同様の化学的、物理的及び官能的特性を有するもの。
上記は乳及び乳製品の成分規格等に関する命令(通称:乳等命令)における定義を少し書き直したものです。
元の文章が固いので、書き直しましたが、大分解りにくいかと思います。
では、プロセスチーズはと言いますと…
ナチュラルチーズを粉砕し、加熱溶融し、乳化したもの。
こちらは分かりやすいですね。
要はチーズを原料に製造したチーズがプロセスチーズ。
乳から作ったものがナチュラルチーズと考えると解りやすいかと思います。
※一部例外もあります。
2.ナチュラルチーズ
ナチュラルチーズは、コーヒーで例えると単一産地のストレートコーヒー、若しくはさらに細かく限定したシングルオリジンコーヒーになります。
各産地や作り手で違いがあり、それぞれの個性の違いを楽しめるチーズです。
地域や製造年度などによる違いがありますので、飲食店や少量生産のこだわりの商品に向いていると思います。
大量生産の場合は味のバラツキに繋がる可能性があります。
なお、複数のナチュラルチーズを使用した場合は「チーズ」又は「ナチュラルチーズ」でまとめて記載するか、個別のチーズ名で記載してください。
これらの表記を混在させると一部だけを抽出した表示となり、不適切な表示となりますのでご注意ください。
3.プロセスチーズ
プロセスチーズは、コーヒーで例えるとお店独自のこだわりの味、ブレンドコーヒーになります。
ナチュラルチーズのクセを抑えたり、合わせたりとメーカー独自の味の表現ができます。
又、ブレンド(製造)の際に調整ができるため、安定した味の供給ができます。
購入毎の味や性状のバラツキがなく、一般的にナチュラルチーズよりも日持ちがするため、食品原料として考える場合、プロセスチーズの方が使いやすかったりします。
一般的なイメージ的では、ナチュラルチーズの方が良い様に思われている事が多いですが、安定した味を求めるのであれば、プロセスチーズと言った所でしょうか。
こちらも同様に表記を混在させると一部だけを抽出した表示となり、不適切な表示となりますのでご注意ください。
4.チーズには分類されないチーズ
「チーズには分類されないチーズ」とちょっとややこしい内容ですが、これは「リコッタチーズ」の事です。
「リコッタチーズ」と名前に「チーズ」が付いていますが、食品の分類上は「チーズ」ではなく、「乳等を主要原料とする食品」となります。
ナチュラルチーズの定義(上記参照)では、主原料は「乳、バターミルク、クリーム、又はこれらの混合物」としているため、「乳清(ホエー)」を主原料としているリコッタチーズはチーズではないという事になります。
食品表示では、チーズと記載する事はできないため、乳等を主要原料とする食品と記載する事が多いです。
以上、食品表示・品質管理的な目線でチーズについてまとめて見ました。
ナチュラルチーズにもプロセスチーズにも、それぞれに良いところがありますので、目的・用途・シーンに応じて使い分ける事をオススメします。
※2024年4月1日より、食品衛生基準行政に関わる権限が厚生労働省から消費者庁に移管となり、それに伴い「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」の題名が、「乳及び乳製品の成分規格等に関する命令(乳等命令)」に改められました。
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