目次
パレットとは
パレットとは、工場、倉庫、コンテナ、トラックなどの荷物を載せる荷役台のことです。
パレットの定番の形は、荷物を載せる面の両サイドに差込口がある平らな形です。一見するとただの大きく頑丈な物置板に見えるかもしれませんが、この差込口にフォークリフトのフォークを差し込んでそのまま移動や上げ下げが出来る優れモノです。
ちなみに、パレットを英語で書くと「Pallet」です。
パレットの種類
パレットにも様々な種類があります。運ぶ荷物や業界によりそれぞれ様々な素材、形状で作られているため、ここでは一例をご紹介いたしますね。
ちなみに、パレットの色も様々あり、納品先やメーカー様などを見分ける時に目印になりとても便利です。
素材の一例
素材は木製のパレットから、プラスチック製のものやシート型のパレットも使われています。重量のある荷物を積む場合は金属製のパレットが用いられることもあります。
木製パレット
木製パレットは、生産・廃棄にかかるコストが低く資材等の流通や保管も頻繁に使用されています。
しかし、ささくれや木屑等のゴミが出やすく、害虫(卵等も含む)が付く場合もある為に食品物流には向かず、定期的な廃棄等の管理が別途必須となります。
プラスチック製パレット
「合成樹脂製パレット」「プラスチック製パレット」と呼ばれるパレットです。現場での衛生面、安全面、コスト、環境面と優れ食品物流に向いています。
また、強度や耐荷重量に優れ、破損が少ないのが特徴で2方だけで無く4方の物も一般的に見受けられます。
差込口が2方もの
差込口が4方もの
形状の一例
形も用途に合わせて様々なパレットがあります。
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平パレット…定番の差込口があり平らな形のパレットです。
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ボックスパレット…箱型のパレットで、折り畳み式や取り外しが可能なタイプ、蓋があるものもあります。
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ロールボックスパレット…ボックス型のパレットの底面に車輪がついたタイプのこと。こちらもパレットの一種とされます。
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シートパレット…薄型のシート型のパレットです。プッシュプルという専用の機能をもつフォークリフトで運搬され、米袋や穀物袋などの運搬に用いられることが多いです。
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サイロパレット…牧場などによくある穀物用サイロのような形をしています。穀物や飼料など、粉粒状の物の輸送に適しています。
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タンクパレット…液体状の物を輸送する際に用いるパレットです。
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ポストパレット…支柱で組まれたパレットです。布のロールやフィルム等の輸送に適しています。また、使用しない時にスリムに折り畳むことができるので重宝されます。
また、使い捨てのパレット等も存在します。
用途や輸送条件に合わせて最適なパレットを選びましょう。
パレットのサイズには規格がある
日本国内で主に使用されるパレットのサイズ
パレットには様々なサイズがあります。日本や韓国で使用されているサイズは1100mm×1100mmです。これはJIS規格になっています。
※包装モジュール寸法「JIS Z 0105包装貨物」
諸外国で主に使用されるパレットのサイズ
あくまで一例です。参考までにどうぞ。
- アメリカ…1219mm×1016mm
- ヨーロッパ…1200mm×800mm
- 韓国…1100mm×1100mm
- 中国…1200mm×1000mm
ビールパレットのサイズ
その他にもビールパレットというビール搬送時に使用されるパレットがあります。こちらもJIS規格で定められており、サイズが900mm×1100mmに決められています。
「一般社団法人Pパレ共同使用会」という会を酒類業界が組織しており、その会でこのサイズのパレットを共同使用しているようです。
パレットを使う目的
パレットを活用する目的は、主に作業効率を上げるためです。
物流の世界ではなくてはならない存在で、パレットとフォークリフトを使用することにより作業効率は格段に上がります。今までバラ積みをし、バラで降ろしていたものがパレットに積むことで倉庫での管理や移動、配置付け作業も容易に行うことが出来るようになりました!
また、積み替えが不要なため、荷物を痛めることも少なくなるなど、たくさんのメリットがあります。
食品物流ではどのパレットを使用するのか
食品物流ではプラスチックパレット(ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等)が主流で使用されています。
プラスチックパレットは他の素材に比べ軽量で腐食やカビが発生しにくく、濡れやにおい、カビ、摩擦によるゴミくず等も発生しにくい為に衛生管理が容易な為です。
輸入品等の場合、木パレットでの納品時にはプラスチックパレットに積み替えます。
また、ポリエチレン樹脂はポリプロピレン樹脂に比較して丈夫なので冷凍倉庫で主に用いられています。
パレットをレンタルするメリットについて
パレットはレンタルすることも可能です。レンタルする際のメリットとして、以下の点が挙げられます。
- 作業ボリュームの波動に合せて調達する為、保管スペース等を確保する必要がない
- 必要な時に必要な枚数分、必要な場所で利用出来る
- 消耗品で有る為、一定の品質状態の物を利用できる
デメリットとしては
- 管理が月間単位で棚卸等が必要になる※作業時に差し替え等の流出等
- レンタル費用、紛失や破損時の弁済や返送コストがかかる
等が挙げられます。
パレットパターン
荷崩れを防ぐパレットパターンについて
パレットに荷物を積みつける作業を物流用語で「パレタイズ」、パレット上に貨物を積み付ける(並べる)ことを「パレットパターン」といいます。
ハンドリフトやフォークリフトでの作業時、トラックの運搬時、入搬出時の荷姿、安定した保管時などの物流品質にも関わります。
様々な形のパレットパターンを熟知していれば、荷物の大小に関わらず荷崩れをしにくいパレタイズで対応が可能です。
荷崩れが起きてしまう原因
荷崩れする原因は、横の力(横揺れ)と縦の力(重力)に関係します。フォークリフトでの移動する際やトラックで輸送中には、横向きの力が発生します。
また、横揺れに対応しても、一番下に積まれている段ボールは、重さや圧力で潰れてしまうこともあります。これにより全体のバランスが崩れて崩壊する事も有ります。
荷崩れの対策として、縦向きに棒のように積み上げたもの「棒積み」、貨物の角部分がはみ出た状態の「オーバーハング」を回避することで、横の力と縦の力を締め付けることができます。特にオーバーハングすると荷物の重心が外側にずれてしまい、崩れやすくなってしまうため注意が必要です。
荷物の積み方(パレタイズ)の種類
◆ピンホール積み(風車形積み付け)
ピンホール積みとは荷物を風車の形のように縦横に組み合わせた積み方です。
風車型積み付けともいいます。
1段ずつ向きを反転させることで横向きの力にも安定させることができます。
またピンホール積みの応用として2つないし3つの荷物を組み合わせて1枚の「羽根」にする積み方も現場でよく見るピンホール積みの一つです。
ピンホール積みのメリットとしては中央に空気の通り道ができることから、冷蔵倉庫や低温輸送などで荷物を一定温度に保ちたい場合などにも使われます。
一方中央に隙間ができてしまうことからパレット上の積載率が下がってしまうというのがデメリットです。
◆ダブルピンホール積み
ダブルピンホール積みは、ピンホール積みの発展型で、中央の隙間部分を2つにした積み方です。通常のピンホール積みのひとつの荷物を起点にもう一つピンホール積みをして残った角の部分に荷物を置きます。これを左右反転させて積んでいきます。
メリットとしては段を積み替える際に複雑ゆえにオーバーハングしづらい点や積載効率が比較的高いという点です。荷物の大きさによっては他の積み方よりも多く積めるという場合もあるかもしれません。
デメリットとしては積み方が複雑なので生産性が落ちます。また、左右に反転させるため穴の部分は重なりません。
◆ブロック積み
ブロック積みとは荷物をブロックのように並べて積み上げる積み方です。平積み、棒積みとも呼ばれます。
単純な積み方で早く積むことができ、パレットから取り出す際にも縦にまとめて荷物を取り出すことができ、生産性が上がるのがメリットです。ダンボールの形が整っていればダンボールの中で比較的強度が強い角の部分に重みが集中し、重みにも強いというメリットもあります。一方で棒積みになってしまうために横向きの力に弱く、少しの振動でも荷崩れしてしまう可能性があります。
◆交互列積み
ブロック積みを一段ずつ90度向きを変えて積むのが交互列積みです。
横向きの力に比較的強く、荷崩れしにくいのがメリットです。互い違いにしたときに荷物の大きさによって縦、横の長さが合わないと使えないため、1段に並べたときの全体の形が正方形になるような限られた荷物でしか使えないというデメリットもあります。
◆レンガ積み
レンガ積みとは1つの段で縦横方向に向きを変えて積む方法です。棒積みのようにならないよう、各段で180度ずつ向きを変えて積み上げます。
荷崩れがしにくく、すべての荷物が外側から見えるため、検品がしやすいという点がメリットです。
荷物の形によりますが上から見たときに全体が長方形の形になることが多いので、カゴ台車に積みケースはよく用いられます。
◆スプリット積み
スプリット積みとは、レンガ積みの応用形で、レンガ積みの特徴である横向きの部分に隙間(スプリット)ができる積み方です。
わざと隙間を空けているというよりも荷物の形状によって必然的に隙間はできるものなので、ほぼレンガ積みと同一かもしれません。ポイントは隙間があいてしまう際は必ずパレットの内側に隙間を開けることです。内側にくっつけてしまうと、上に物を積んだ際に外側に支えがなくなってしまうため、荷崩れを起こしやすくなってしまいます。
◆窓積み
窓積みは、レンガ積みの横向きの部分を2列に増やした積み方です。各段で180度向きを変えて互い違いに重ねていきます。
レンガ積みと同様、荷物の短辺の部分が少なくとも一方は外側から見えるため、検品などがしやすいのがメリットです。カゴ車や正方形でないパレットに積み付ける場合などによく使われます。正方形のパレットの場合、窓積みが可能なサイズであればピンホール積みで1段あたり1つ多く荷物を積むことができ、しかも外側からの検品も可能です。
■○回し○段積みとは
納品時にドライバーへの積み方の指示や、セット組の際に出来た荷物を積み付ける際に「8回し4段で積み付けて」「16回し5段積みで」などのような「○回し○段」という言い方をします。これは積み方ではなく、パレット上の1段の個数と積み重ねる段数を指定する積み方の指示です。
「○回し」とは1段の中にいくつの荷物を入れるか、という意味です。
「○段積み」とはその○回しを○段分積む、ということです。
つまり、8回し4段であれば一つのパレットの上には8×4で32個の荷物が積み上がることになります。
「回し」という言葉からピンホール積みのような積み方をイメージする方もいるかもしれませんが、積み方に関してはこの言い方の指示には入っていないため、別途並べ方(パレットパターン)は確認する必要があります。